
理事長ご挨拶
Greetings

古倉 聡
京都先端科学大学 健康医療学部 教授
京都府立医科大学 客員教授
日本ハイパーサーミア学会 理事長
― 覚悟と責任をもって、実装の時代へ ―
日本ハイパーサーミア学会を支えてくださっている臨床医、研究者の皆さまに、心より御礼申し上げます。
私が理事長を拝命してから、本年で9年目を迎えました。この9年間は、ハイパーサーミアの意義を見つめ直し、臨床経験を蓄積し、研究基盤と人的ネットワークを整えるための「準備の期間」であったと考えています。そして今、私たちはその成果を医療現場と制度の中に具体的に反映させていく、「実装の時代」に入ったと認識しています。
ハイパーサーミアを取り巻く医療環境は大きく変化し、がん治療における集学的治療の重要性は、以前にも増して明確になってきました。一方で、ハイパーサーミアが本来有している可能性を、医療制度や社会に十分に示し切れているとは、まだ言えない段階にあります。
臨床の現場では、治療効果や患者さんのQOL改善を実感しながらも、それが必ずしも評価や制度につながらないという歯がゆさを、多くの先生方が感じてこられたのではないでしょうか。だからこそ本学会は、「有効である可能性がある」治療を、「有効であると説明できる医療」へと引き上げる責任を負っていると、私は強く認識しています。
現在進行中の臨床試験は、その責任を果たすための極めて重要な取り組みです。これらの試験を中途半端な形で終わらせることは許されません。学会として、研究の質と倫理性を担保しながら、最後までやり遂げる覚悟をもって支援してまいります。その成果を、診療の現場、診療指針、さらには健康保険制度の議論へと確実につなげていくことが、理事長としての私の責務です。
また、ハイパーサーミア治療を全国各地へ普及させること、そして健康保険制度の改善を実現することは、理念ではなく、実行すべき課題です。これらは時間を要する取り組みではありますが、根拠を積み上げ、声を上げ続けることでしか前進しません。私は、その先頭に立ち続ける覚悟です。
若手研究者の皆さまには、ぜひ臨床の疑問を研究へと昇華させ、学会活動に積極的に関わっていただきたいと思います。本学会は、完成された成果のみならず、「これから検証すべき問い」を大切にする学会でありたいと考えています。試行錯誤を共有し、次の世代へ知を引き継ぐことも、今まさに求められている「実装」の一部です。
日本ハイパーサーミア学会は、これからの数年間を、ハイパーサーミア医療を社会に定着させるための重要な局面と位置づけています。
理事長としての責任と覚悟をもって、皆さまとともにこの「実装の時代」を切り拓いていく所存です。
引き続き、本学会へのご理解とご協力を、心よりお願い申し上げます。
令和8年1月吉日
